東京都のギフテッド教育とは?|渋谷区での取り組みやギフテッド教育を受けられる教育機関も紹介

稀有な才能を持って生まれてきた「ギフテッド」の子どもたち。その特別な響きに、憧れを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかし当事者は、その特性によって生きづらさを感じているケースも多いのです。

この記事では、日本におけるギフテッド教育の在り方や、東京都でギフテッドに対応している教育機関や支援団体などを詳しく解説しています。

※2023年9月時点での情報です。

目次

ギフテッドとは?

「ギフテッド」とは、英語のgiftedに由来しており、「天から特別な才能を与えられた人」を意味する言葉です。

ギフテッドと呼ばれる人は、学問・芸術性・言語能力など、さまざまな分野において先天的に突出した才能を持っています。

ギフテッド教育が盛んなアメリカでは、IQ130以上の子どもをギフテッドと呼ぶことが多いようですが、日本ではまだ明確な定義は存在しません。

能力が高い反面、社会性・人間性やほかの分野の成長が同年代の子どもよりも遅れる場合があります。

また、発達障害の特徴が見られる子どもも多いことから、周囲の人間の理解や、本人に合わせた生活環境が必要とされます。

ギフテッド教育の必要性

ギフテッドと呼ばれる子どもは、その能力の高さゆえに、通常の学校教育では物足りなさを感じることがあります。

最悪の場合、そのまま学習意欲をなくしてしまい、才能を発揮できる機会を失ってしまう可能性もあるのです。

そのため、通常の学校教育に併せて、その特性を伸ばし、生かせるような特別な教育が必要になると考えられます。

また、特定の分野の才能が秀でている半面、ほかの分野については同年代の子どもよりも劣っていたり、集団行動が著しく苦手な性格だったりすることがあります。

ギフテッドの子どもがなるべく生きづらさを抱えずに学校生活を送るためには、ギフテッドについて理解のある環境が整っていることが必須といえるでしょう。

日本のギフテッド教育

日本では、近年ようやくギフテッドという言葉が世間に認知され始めたばかりのため、その教育方法についての議論や導入が不十分であるのが現状です。

2021年に文部科学省が「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導」と題して、ギフテッド教育の導入についての検討を始めています。

なお、ギフテッド教育が盛んなアメリカでは、

・ギフテッドの子ども向けのクラスを設置する
・飛び級
・夏休みの間にギフテッド向けの集中講義を行う

といった、さまざまな教育方法がすでに導入されています。

今後日本でも、ギフテッドの才能を潰さないための教育を発展させていくことが求められます。

東京都渋谷区のギフテッド教育

東京都渋谷区では、2017年から独自のギフテッド教育に取り組んでいます。

ギフテッドを「全般的または特定の分野で高い能力を発揮する子ども」と定義し、下記3点のいずれかの子どもを対象とした計8回のプログラムを実施しました。

・特別支援教室拠点校の巡回指導教員による指導を受ける児童
・情緒障害等通級指導学級に在籍する生徒
・長期欠席児童・生徒


ギフテッドと発達障害を併せ持つ子どものために行われたこのプログラムは、「異才発掘プロジェクト ROCKET」をさせた実績のある、東京大学先端科学技術研究センターと連携して展開されました。

また、自治体がギフテッドに関連した教育を独自に行うという稀なケースであったため、大きな注目を集めました。

東京都でギフテッド教育や支援が受けられる教育機関・支援団体4選

東京都内で、ギフテッド教育や支援が受けられる教育機関または支援団体を4つ、ご紹介していきます。

翔和学園

【基本情報】

住所東京都中野区中央1-38-1 アクロスシティ中野坂上ビル2F
電話番号03-5338-0338
公式サイトhttps://showa-gakuen.net/
学費・必要な費用(小中学部)
※個別指導が必要な場合1,089,000円(税込) / 年が別途かかります。
入学金
施設拡充費
授業料施設費
教材費
330,000円(税込) ※入学初年度のみ385,000円(税込) ※入学初年度のみ1,188,000円(税込) / 年
132,000円(税込) / 年
220,000円(税込) / 年

翔和学園の小中学部は、発達障害などによって不登校になった子どもを受け入れる民間のフリースクールです。

「ギフテッド・2Eプログラム」を導入し、発達障害とギフテッドを併せ持った子どもを受け入れる体制を整えています。

ギフテッドの子どもの特性に合わせて「個別最適な学び」による教育を行い、優れた才能を社会で発揮できるように育てることを目指しています。

東京ウエストインターナショナルスクール

【基本情報】

住所東京都八王子市梅坪町185
電話番号042-691-1441
公式サイトhttps://www.tokyowest.jp/jpn/
評価認定国際バカロレア(PYP)
通学期間2歳〜中学部卒業まで
学費※入学金は初年度のみプリスクール入学金
施設費
教材費
学校改善費
諸経費
授業料
150,000円
120,000円 /年
120,000円 /年
100,000円 / 年
50,000円 / 年
97,000円 / 月
キンダーガーデン入学金
施設費
教材費
学校改善費
諸経費
授業料
250,000円
120,000円 / 年
120,000円 / 年
100,000円 / 年
50,000円 / 年
90,000円 / 月
小学部・中学部入学金
施設費
教材費
学校改善費
諸経費
授業料
350,000円
175,000円 / 年
175,000円 / 年
100,000円 / 年
50,000円 / 年
1,370,000円 / 年

東京ウエストインターナショナルスクールは、幼稚部から中学部まで通える一貫校のインターナショナルスクールです。

ギフテッド教育のプログラムは導入されていない学校ですが、アメリカで長年ギフテッド教育に携わっていた人が学校長を務めているため、ギフテッドに対しての知見や理解がある教育方針であると考えられます。

また、国際バカロレア(PYP)認定校であることから、日本の一般的な学校と違った探究型のカリキュラムで学ぶことができます。

※国際バカロレアとは…国際バカロレア機構が提供する、世界的な教育プログラムです。3段階に分かれており、PYPは3〜12歳の初等教育にあたります。 

LEARN Project

【基本情報】

住所(運営元)東京都目黒区駒場4-6-1 14号館208号室東京大学
先端科学技術研究センター「個別最適な学び研究」寄付研究部門
電話番号03-5452-5064
公式サイトhttps://learn-project.com/
学費・必要な費用原則不要

LEARN Projectは、東京大学先端科学技術研究センターが、ギフテッド教育のために立ち上げた「異才発掘プロジェクト ROCKET」の後継にあたる支援団体です。

学校に馴染めない子どもたちのために、個性や特性を発揮しながら、学校の授業とは違った学習やアクティビティを提供することを目的としています。

全国で開催している多種多様なプログラムに、原則無料で参加することができます。

日本ギフティッド協会

【基本情報】

住所(運営元)東京都中央区銀座8-18-6特定非営利活動法人 Feelosopher’s Path Japan
電話番号不明(公式サイトに記載なし)
公式サイトhttps://www.jagifted.org/
学費・必要な費用不明(公式サイトに記載なし)

日本ギフティッド協会は、アメリカで長年ギフティッド教育を提供してきた教員とその教え子たちが運営している支援団体です。

ギフテッドの子どもが才能を自分のためだけでなく、周りの人や社会のために使える人間に育つよう、支援することを目的としています。

主な活動内容は、ギフテッドの子ども・保護者・担任の教員などでチームを編成して作成する、ギフテッド用個別教育計画書(GIEP)の作成サポートや、保護者・教育者向けの勉強会の開催などがあります。

家庭で取り組めるギフテッド教育

ご家庭で取り組めるギフテッド教育については、以下の2点が挙げられます。

・ギフテッド教育に対応している家庭教師を活用する
・デジタル教材を活用する

順番に深掘りしていきます。

ギフテッド教育に対応している家庭教師を活用する

ギフテッドの子どもは、大人でも到底真似できないような、並外れた頭脳や才能を持っています。

また、子どもによっては発達障害などを併せ持っている場合もあります。

そのため、ギフテッドについて知見の少ない保護者や学校の教員だけでは、サポート体制が不十分である可能性があります。

その場合、ギフテッドや発達障害について理解がある家庭教師を活用するのも1つの手です。

ギフテッドについての研修を受けている、またはギフテッドの子どもに接することに慣れている家庭教師であれば、子どもの学習意欲を引き出し、才能を伸ばすことが期待できます。

デジタル教材を活用する

自分のペースでどんどん学習を進められるデジタル教材は、ギフテッドの子どもと相性が良いといえるでしょう。

特に、学年ごとの範囲が決められていない「無学年方式」の教材であれば、自分が興味・関心を持った科目に貪欲に取り組んで行くことができます。

また、子どもが学習意欲を満たせるように、教科書の範囲だけではなく、応用・発展・入試対策などの難解な問題も取り入れた教材を選んであげることも大切です。

東京都のギフテッド教育に関するよくある質問【Q&A】

東京都のギフテッド教育に関連した、よくある質問3つをまとめました。

  • 発達障害とギフテッドは違うものですか?
  • 日本に飛び級制度はありますか?
  • 翔和学園のギフテッド教育は発達障害の子どもでなくても受けられますか?

順番に見ていきましょう。

発達障害とギフテッドは違うものですか?

発達障害とギフテッドは別のものです。

そもそも、ギフテッドは医学的な専門用語ではなく、日本では診断基準すら明確に定められていないのが現状です。

ギフテッドとされる子どもたちの中には発達障害を併せ持つ子どもも多くいますが、全員ではありません。

日本に飛び級制度はありますか?

現在、日本で飛び級制度が認められているのは一部の大学・大学院のみで、義務教育期間中の飛び級制度は実施されておりません。

ただ、海外の学習カリキュラムを導入しているインターナショナルスクールであれば、飛び級制度を活用できる学校もあります。

しかしその場合は、日本の学校の卒業資格を得られない可能性があるので、事前に確認が必要です。

翔和学園のギフテッド教育は発達障害の子どもでなくても受けられますか?

翔和学園は、基本的に発達障害やそれに類似する苦手さを持つ子どもを対象とした教育機関です。そのため、小中学部の「ギフテッド・2Eプログラム」についても、発達障害とギフテッドを併せ持った子どもを対象としています。

まとめ

今回は、ギフテッド教育について、日本の現状や教育機関・支援団体などについて解説しました。

日本ではまだまだ発展途上のギフテッド教育。今後、ギフテッドの人が生きづらさを感じることなく、その頭脳や才能で社会に貢献していけるようにするための環境づくりが求められます。

また、自分の子どもがギフテッドの可能性がある場合は、一人で悩まず、知見のある教育機関・支援団体などに相談し、判断を仰ぐことも大切です。

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